集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第141夜「観測終了後に思うこと」(2014年3月7日号)



 日没後1時間20分ほど経過すると、あたりはすっかり暗くなります。と言っても、上弦前の月があるのでまっ暗というわけではありません。その月が、牡牛の頭を作るヒアデス星団の西にいます。時間の経過と共に、次第にヒアデスに接近し、ついにはその中に突入するのですが、残念ながらその時刻には日本で、月もヒアデスも沈んでしまいます。

 ですが、この日一日中、月もヒアデスも沈まない場所となる北緯75度地点では、21時頃から翌日5時頃まで暗くなるので、その突入を楽しむことが出来るはずです。北へ行けば行くほど良いかというと、北緯85度以北では真夜中でもまっ暗にはならない(つまり未明がない)ので、お勧めできません。もっともよほどの人でない限り、そんな寒い地域に月の突入を楽しみに行く気にはならないですね。でも、月が夕方南の空に見え、夜中に西の空に見え、明け方には北の空に見え、ついでに真昼に、と言っても日本の昼間のように空が明るくはありませんが、東の空に見えるという面白い様子は楽しめますよ。

 このように、天体観測は、貴重な観測データを取る喜びの他に、様々な哲学を学べます。夏ならランニングと半ズボンで蚊取り線香をガンガン焚き(それでも蚊に悩まされますが)、冬なら登山靴に長ズボン、もちろん防寒着に懐炉をボンボン貼り付け、観測に臨みますが、終了後すぐに家には引っ込まず、周囲の雰囲気を感じ取ることにしています。

 すると、夜中の3時に大学生がオシャベリしながら、近所の大学の方から歩いてくるのを見かけ、あるいは明らかにサラリーマン風のおじさんが深夜バスの駅の方から歩いています。時々若い女性が一人でサッサと歩き、自転車が時には無灯火・逆走も。夜中の3時に、ですよ! そのような現象が時代と共に明らかに増えています。私にはとてもできません。天体観測は夜でないとできませんが、私のメラトニン分泌は正常で、朝6時にちゃんと起きられます。みなさんはいかがですか?

※3月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。