集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第149夜「北斗七星から雨が!?」(2014年5月2日号)



 ♪夏も近づく八十八夜♪と歌う童謡は、みなさんご存じのはず。日本で昔使われていた農事暦の正月頃に当たる立春の日から八十八日目になるのが、毎年5月2日頃。ではなぜ「夏も近づく・・・」のでしょうか?
 その答は、同じく日本の農事暦で、夏は立夏(毎年5月5日頃)から始まったからです。あれっ、夏って6月・7月・8月じゃなかったっけ? と思われる方が多いでしょう。でも、その決め方は、前にも取り上げましたが、戦後進駐軍が日本に持ち込んだ、アメリカ式の季節区分なのです。

 つまり2日頃からわずか3日後の5日頃に、昔の日本では夏が始まったのですね。ですが、いくら温暖化だと言われても、まだまだ春の真っ盛りと思われる方が多いのではないでしょうか。しかも、6月になると北海道と沖縄を除く日本の大部分では、星空観望には不向きな梅雨期が始まります。今晩は星が見えるかな、とヤキモキする日が続くのです。

 というわけで、梅雨に入る前の爽やかな夏のはじまりの今月、お住まいの地域が五月晴れに恵まれたら、星空ツアーに行きませんか? 特に今年の5月はゴールデン・ウィークと下旬がお勧めです。もちろん、月明かりが邪魔しないからですね。月明かりがなくても、都会では街明かりに邪魔されてしまうかもしれませんが、それでも、北斗七星などは良く見えるはずです。

 昔の人は、この時期から雨が良く降りだすのは、北斗の柄杓が伏せる形で、升から雨がこぼれてくるのだ!と言い伝えてくれています。うん、なるほどですね。星空の動きと季節感をうまく組み合わせた面白い話です。

 私が各地のカルチャーセンターでお話しているみなさんも、北斗七星についてはよくご存じです。牽牛・織女やオリオン座と共に、知名度が高いベストスリーではないでしょうか。もちろん、小学校時代に北斗七星から北極星を見つける方法を、先生方が教えてくださったからですね。ただ、一緒に教わるはずのカシオペヤ座からの見つけ方は、あまり覚えておられないようです。なぜでしょうか?

※5月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。