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あつぼし見上げて夜話

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第221夜「秋分の日」(2015年9月18日号)



 9月20日(日)から23日(水)までは、四連休。ことによったら19日(土)から五連休の方もおられるでしょう。定年退職後、別に家に引きこもっているわけではなく、カルチャーセンターで講師をやらせてもらっていますが、まぁ気楽なもので、毎日が連休みたいな私ですが、それにしても長い休みというのは良いものですね。

 締めくくりが秋分の日で、お墓参りをなさる方も多いことでしょう。ところで春分や秋分に墓参りをする習慣は日本だけということ、ご存じでしたか。日本独特の風習で、仏教で言う極楽が西の方にあるからですが、これは春分・秋分に太陽が西に沈むからということに由来します。そして、日没後しばらくの間、西空に見える黄道光が、まるでピラミッドのように三角錐型(やや南に傾いていますが)みえることと関係していると説明したのは、京都大学の宇宙物理学科教授だった山本一清先生です。西方浄土の光と見たわけです。

 ところで、本当は秋分の日に太陽(正確にはその上縁)は真西にではなく、少し北側に沈みます。ほぼ正確に真西に沈むのは、今年の場合9月25日です。理由は長くなるので割愛します。

 ともかく秋分とは何かと言えば、太陽の通り道(本当は地球の通り道)の黄道が天の赤道と交差する点(秋分点)を通過する瞬間が含まれる日です。ここでやっと今回の隠れた主題に辿り着きました。テントウムシの語源です。正しくはテンドウムシ(天道虫)だそうです。それが葉っぱからお天道様に向かって飛び立つことに由来します。ちなみに、お天「道」様が通る「道」こそ私は「黄道」だと思っています。でも、これじゃとても山本先生の説のような説得力がある話にはなりませんね。

 今頃明け方の東空に、ひときわ明るく輝く星があります。金星で、連休中の22日に最大光度-4.5になります。もしかすると日出後も見えるかも。まるで太陽に向かうテントウムシのように見えますよ。ご覧ください。

※9月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。