集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

目次

第200夜「球状星団メシエ13」(2015年4月24日号)



 みなさんのご支援により、この夜話もなんとか200夜を迎えることが出来ました。ありがとうございます。しかも、19日の新月を間近に、ほぼ夜明けまで暗い夜に夜話をさせていただくことを光栄に思い、暗い夜にしか見えない球状星団のことをお話ししたいと思います。

 明日の未明、午前2時半過ぎに頭上をご覧ください。ヘルクレス座の著名球状星団メシエ13が、肉眼でかろうじて(もちろん光害がないところで)見えているはずです。明るさは4等ですので、できれば双眼鏡を使ってご覧いただくことをお勧めします。

 およその位置は、うしかい座のアルクトウルスとこと座のベガを結ぶ線のベガから1/3ほど、つまり頭の真上の天頂付近ですが、詳しくは星の地図(星図)を使って探してください。

 多くの天体写真集で、メシエ13の晴れ姿を見ることができますが、なんでこんなボールのような姿をしているのだろうと不思議に思われた方が多いのでは? 中学生時代の私もその口でした。でも、その謎が解けたのは50年も経ってからでした。

 ものの本によると、ほとんどの球状星団には赤ちゃんはおろか若者もいない、つまり私のような老年者ばかり、それも全員なんと120億歳以上。始まったばかりの宇宙で生まれたわけです。でも、人間界と同じなら星相互と星の生産元となった星間ガスの重力で、日常的に互いを蹴飛ばし合い、破壊させるか仲間から追い出してしまうはずなのです。

 なにしろ、平均直径100光年のボールの中に10万個の星がギッチリギュウギュウ詰めなのです。太陽に最も近いケンタウルス座α星までの間に何千もの恒星があり、空は昼夜問わずスパンコールをちりばめた毛布のように見えるはずだそうです。でも、互いに近すぎたのが幸いしたらしく、互助会のようにして助け合って長生きしているらしいのです。人間も見習わなければならないでしょうね。

※4月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。