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あつぼし見上げて夜話

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第203夜「二つの記念日」(2015年5月15日号)



 今朝もまた、つつがなく夜が明け、日が昇りました。このようなことはこれまで何億回、何十億回と繰り返されました。これからも何兆回、何十兆回と繰り返されることでしょう。

 世界人口が70億人だとして、5月15日に誕生日を迎える方は約2000万人おられることになりますから、世界中で2000万人の方が今日がハッピーバースデーですね。でも、人類全体が祝うべき大きな出来事というのは、そうザラにはありません。

 例えば3年前の5月21日、みなさんばかりでなく九州・四国・関西・中部・関東で800万以上の人が見たと言われる金環日食が起こりました。なので、5月21日は金環日食記念日はどうでしょう。2035年9月2日には中部から北関東で皆既日食が見られます。晴れていれば間違いなく皆既日食記念日ですね。

 でも、特定の地域で、ではなく、1836年5月15日には世界中で金環日食の記念日になりました。ベイリーというイギリスの人が、その日の金環日食で、太陽の手前に重なった月の縁の谷から漏れる日光が、まるで数珠のように繋がった様子を見て「ベイリーの数珠」と命名しました。別にお祝いは行われませんが、今日はその命名記念日なのです。

 ただし、ベイリーはベイリーの数珠の発見者ではありません。その56年前の1780年にウィリアムスが、1791年にウェーバーが、1820年にフォン・ツアハが観察記録を残しています。ベイリーはその命名者です。

 1933年5月15日には、ニューヨークのラジオ局WJZが15分間の特別番組(ベル電話研究所のジャンスキーらが出演)「星からの放送」を全米に向けてある音を放送しました。それは、ニュージャージー州ホルムデルのアメリカ電信電話会社の受信機が捉えたシューという銀河電波ノイズを、10秒間実況放送したものです。翌日のニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば「ラジエーターから漏れる蒸気のような音だった」だったそうです。銀河電波発見の日と言って良いでしょう。

※5月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。