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あつぼし見上げて夜話

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第209夜「ラニアケア超銀河団②」(2015年6月26日号)



 20時過ぎの西空で、金星と木星がここ暫くの間チョー接近しているはずですが、あいにくお天気が、ですね。208夜で梅雨のハシリがとお話したら、もう梅雨の後半で本格的悪天候、おかげで星のことはもう忘れそう、ではなく、私たちは嫌でもラニアケア超銀河団の中にいますと同夜申し上げました。

 今週はもう少しその辺を探ってみることにしましょう。それって昨年ハワイ大学のタリーという方が研究発表したばかりの成果なのです。およそ8000個の銀河の運動と宇宙膨張とから判った特異運動と呼ばれるものから、同超銀河団の領域がどのくらいあるかが調べられました。その結果、直径が5億2000万光年あって約10万個の銀河が中に含まれているそうです。

 つまり、我らが銀河系の兄弟姉妹父母親戚が10万いるというわけ。ただ、一括して超銀河団というワケではなく、人類にも民族がいるように、おとめ座銀河団・じょうぎ座銀河団・うみへび座銀河団・ケンタウルス座銀河団(最後の二つはグレート・アトラクターと総称される)などが、族になっています。

 話はそれだけで済みません。ラニアケア超銀河団の周囲には、シャプレー超銀河団、かみのけ座超銀河団、ペルセウス座-うお座超銀河団などがあり、タリーさんによれば、ラニアケアはシャプレーに強引に引っ張られているのだそうです。何だか訳が判らなくなりましたね。

 ラニアケア(ハワイ語で無限の空)はそのくらいにして、有限の空にいる金星と木星は7月1日夕方、わずか1/3度ほどに近づいているはずです。腕を伸ばして指に挟んだ五円玉の穴の中に収まる程近づいています。もし、奇跡的に晴れていたら、ぜひ試してみてください。

 あいにく同夜は満月。なので、夕方から翌日明け方までずーっと空は明るいままですが、たぶん金星と木星なら負けずに輝いているはずです。ぜひお楽しみください。

※6月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。