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あつぼし見上げて夜話

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第38夜「昼夜平分」(2012年3月16日号)



 今年の3月20日は春分の日です。天文学的には、太陽が春分点を通過する日とされています。なので、来年も3月20日になるはずですが、再来年と再々来年は21日になるはずです。毎年カレンダーを見なければなりません。ちょっと面倒ですね。

 春分の日はお彼岸のお中日とも言います。仏教では大切な日の一つですね。そして、よく昼夜平分の日とも言われています。ですが、それは正しくありません。天文学的な昼夜平分、すなわち昼と夜がともに12時間になるのは、みなさんがお住まいの場所(緯度)によって異なりますが、日本では大体3月16日から18日の間と言って良いでしょう。

 ちなみに、秋の場合も良く言われる秋分の日(9月22日や23日)ではなく、27日から29日の間です。

 どうしてそうなるのかには、厳密にはいろいろな理由がありますが、日本では日出没が共に太陽の一番上が地平線にさしかかった時と法律で決められていることと、太陽(ばかりでなく全ての天体も)の光が、地球の空気(大気)によって屈折を受け、太陽が浮き上がって見えることが大きな理由です。

 さて、その昼夜平分を過ぎて夜が短くなってくると、ひとつ残念なことが生じます。人口が多い北半球では、天体観望を楽しむ時間が減ってしまうことです。なので、これまでの、例えば彗星や小惑星あるいは変光星などの新発見が、毎年10月から翌年3月までに較べてみると、4月から9月までが圧倒的に減少しており、6対4くらいの比率です。

 最近は灯火が少なくまた乾燥した天候が続く地域が多い南半球に、大きな天文台が数多く建設されつつあることもあって、この傾向は変化しつつあり、地球を飛び出して宇宙空間から観測されることも多くなりました。

 夜が短くなっていくこの時季だからこそ、絶好の天候に恵まれた晩を大切にして、星空三昧はいかがでしょうか。思いがけない大発見をなさるかも知れません。

※3月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。