集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第44夜「グッドバイ、火星さん」(2012年4月27日号)



 日の入り後およそ1時間半すると、夕空はとっぷりと暮れて夜空にかわります。頭上やや北側に北斗七星が柄を東に向けて、七つ並んでいます。よく見ると、柄の先から二番目の星が二つに見える人は、昔のアラビアで兵隊さんになることができました。アラビアで明るい方の星をミザール、暗い方の星をアルコルと呼んでいました。昔、プラネタリウムで解説していたとき、「アルコールを飲むとミエザールになります」とふざけていました。閑話休題。

 そんな夜空で、北斗七星の南側に赤みがかった輝きが見事な火星があります。その近くには、白い1等星があって、その対照がまた見事です。星の名はレグルス。とはいっても明るさとしては地味で、21個ある1等星の中で最も暗い星です。ちょっとすると、2等星と言っても良い明るさです。ややこしいですね。

 火星は先月の3月6日に地球に最も接近しました(明るさマイナス1.2等)。といっても、2003年8月末の5580万kmに遠く及ばない接近距離で、1億100万kmでした。今はすでに1億3700万kmまで離れています。今後も順調に地球からサヨナラしていきます。出発し始めた列車から離れゆく街に別れ告げるように、火星にグッドバイしましょう。

 でも、この最接近から2年後の2014年4月半ばには、あなたの乗った列車はまたその街に近づきます。このときは、今年よりもっと接近して9240万km、さらに2016年5月末には7520万km、2018年7月末には最大接近5760万km(マイナス2.9等)になります。残念ながら2003年の大記録を更新することはできす、その後再び接近距離は大きくなっていきます。接近時の明るさも接近のたびに変わるので、ご注目ください。

 そんな火星ですが、最後の花を咲かせるように、今年8月14日の日没後、西南西の低空で土星(0.6等)、火星(1.1等)、おとめ座のスピカ(1.0等)が直線状に並びますよ。とても見ものです、お楽しみに!

※4月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。