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あつぼし見上げて夜話

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第69夜「10月の流星群を見よう②」(2012年10月19日号)



 67話に続いて秋の流星群観測のおすすめ第二弾です。放射点(輻射点という方が多いのですが)が北の空に低いので、観測が難しい「りゅう座流星群(私のようなおじさん以上の人にはジャコビニ流星群の方が懐かしい・・・)」に較べて、南の空高くで見やすく、誰にでもわかりやすい、あの「オリオン座流星群」の話です。

 狩人オリオンがやや西に傾き始める午前4時頃、その右肩脇の下に、赤いベテルギウスがありますか? もしも無かったり(アウト~!)、青く暗くなっていたら(超新星爆発の直前!)大問題ですが、まあ、あるとして、そのさらに左上あたりを放射点として、1時間に数十個飛ばすのがこの流星群です。

 毎年5月上旬に出現する「みずがめ座エータ流星群(今年は満月で観測条件最悪だった)」とともに、有名なハレー彗星をお母さんとする、つまりハレー彗星が流星物質を供給する流星群です。出現ピークの21日には、22時頃に上弦1日前の月が西空に沈み、夜半前から明け方まで月明かりの邪魔が無く、みずがめ群とは全く異なり、最高の条件です。

 地球軌道に対して傾いている軌道上を、ハレー彗星が上から下に交差する場所を地球が通過する場合に、みずがめ群が飛び、下から上に交差する場所を通過する場合に、オリオン群が飛びます。

 今は、もっとも太陽から離れているハレー彗星ですが、2061年夏の回帰に向けて、その子どもたちがどんな経過をたどるか、特に若い人たちは楽しみにしてください。

 流星観測のついでに、月明が無い暗い夜空で天の川やアンドロメダ大銀河、ペルセウス座二重星団やすばるも楽しんでください。

 おっと危ない、オリオン群のピークの21日には、20時半頃東北東やや低くにいるペルセウス座ベータ(アルゴルの方が有名)が、食変光で暗くなっているのも、どうか忘れずにご覧ください!

※10月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。