集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第67夜「10月の流星群を見よう①」(2012年10月5日号)



 私が住む関東地方では、秋霖の時期がいよいよ佳境に入り、もうすぐ秋晴れの日が続くようになるはずです。そうすれば、私は毎年大忙しになります。もちろん青空の下の話ではなく、黒空の下の話です。もっとも、この40年間東京都内では天の川が見える暗黒空にお目にかかれていませんが・・・。

 今月は、真ん中の15日が新月になります。流れ星が多く見えるのは、11月のおうし座流星群を除き、夜半前より夜半過ぎの方がチャンスです。理由は、夜半すぎの方が地球の自転方向と公転方向が一致し、かつ流星物質の運動方向とは反対、すなわち観測者がほぼ正面から流星と対峙することになるからです。

 もう一つ条件があります。それは、地球が流星物質の一番濃いところをいつ通過するかと言うことです。有名な8月のペルセウス群のように、歴史的流星群は軌道上かなり幅広く流星物質が拡散しているため、地球規模で短時間では、出現数が余り変わりません。しかし出現ピークが鋭い流星群では、時間の巡り合わせが悪いと、欧米ではスゴク飛んだのに日本ではサッパリということになります。

 明け方に月明かりがない、今月ならば12日頃から22日頃の間が絶好のチャンス! なので、21日未明にピークとなるオリオン座流星群は最高ですね。8日20時にピークとなる予定の10月のりゅう座流星群は、当夜23時頃に月が昇ってくるので、後半が観測の上でややピンチですが、それでも北西方向から放射状に1時間あたり数個から十数個出現するのではと、期待されています。ただし、都会地では難しいでしょう。

 流れ星が、ただ上から落ちてくるだけ、と思っておられる方が多いのですが、違います。下から上へ飛ぶものもあります。放射点から下に飛ぶのと、上に飛ぶ違いだけですよ。

 ただし、昔の中国では、上→下のものを流星、下→上のものを飛星と区別したそうです。同じものなのにね!

※10月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。