集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第113夜「こと座の星は宝石です」(2013年8月23日号)



 今頃の夜の8時頃、頭上真上、という表現は頭上=真上なので、重複的表現ですからちょっと変ですが、本当に真上という意味なので、どうぞご承認ください。そこに輝くは申し上げるまでもなく、皆さん良くご存じの織り姫星です。その見事な輝きは、ある意味、満月にも負けませんね。

 私は星を見るのが大好きです。そして昔から今の人まで、それをどう楽しんできたかについて知るのも大好きです。なので、星や天体に付けられたニックネーム(愛称)をコレクションするのも好きです。高じて、これまでにそれらを800近く集めてしまいました。

 そんな中でも、我らが織り姫星はダントツの数を誇ります。ここでまずそれを挙げてみましょう。①全天一のダイヤモンド、②真夏のダイヤモンド、③夏のサファイア、④夜空のアーク灯、⑤真夏の夜の女王、⑥夏のシリウス、⑦夏の(北天の)代表星などなど。⑤the Queen of Summerは、かの有名戯曲家シェークスピアの代表作みたいですし、最後の⑦は、日本語ではなんとなくさえない感じがしますが、どっこいQuintessential Star of Summer(Northern Hemisphere)というりっぱな英語で呼ばれています。なんとなく堂々としていますね。

 ともかく織り姫星は、洋の東西問わず誰からも愛されてきたのですよ! その純白の姿は、まさしくダイヤモンドですし、気のせいか少し青ざめて見えるのはサファイアですね。決してルビーではありません。

 ところが同じこと座にルビーがあるのです。残念ながら肉眼ではその見事な赤色を見るのがちょっと困難で、小口径でも望遠鏡が必要です。しかも変光星ですから、暗いときはちょっと難しい。ですが、それだけに見えたときは格別で、まさしく「ことのルビー」です。それはこと座Tという炭素星です。どうです、皆さんも夜空で宝石を、ザクザクと見つけてみませんか。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。