集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第179夜「宇宙と地球がつながった」(2014年11月28日号)



 今日28日の月齢は6。まだ上弦(29日)前ですから、月明かりもそれほどではないので、頭上を見上げて挑戦してみましょう。下北半島や津軽半島にお住まいの方ならほぼ完璧に頭上、すなわち天頂にアンドロメダ大銀河が見えるでしょう。

 同銀河は、我が銀河系(最近は天の川銀河と呼ぶ人が多いですが、天の川=ミルキーウェイ、銀河=本来はミルキーウェイで日本語としておかしいと思うので、私は好みません)と共に渦巻銀河の代表格です。

 みなさんは、このような渦巻銀河がみんな回転していることをご存じだと思います。例えば、我が銀河系はおよそ2億年で回転しています。最近の宇宙物理学者たちが、銀河系の回転で、太陽系がその渦状腕の中を横切るときに、そこで起こっている超新星爆発に遭遇し、そのため宇宙線の強度が増して地球が寒冷化したことを突き止めています。

 現在の太陽系はオリオン腕と呼ばれる渦状腕の内側にいて、腕そのものからは外れていますが、過去に起こった地球の全球凍結(今から7億4000万年前に起こったスノーボール・アースが特に有名)や、それより規模が小さい比較的最近の氷河期などは、それが原因だったと考えられるようになりました。宇宙線強度が約1.4億年周期で変動しており、特に太陽系から近距離で生じた超新星爆発と地球の古気候とは、極めてよく一致することが判りました。

 こうして、現在では宇宙での現象と地球の気象現象がつながったのです。みなさんどうぞ科学(特に天文学)を勉強してください。と同時に占星術にはサヨナラしてください。

 もちろん超新星ばかりでなく、6500万年前の恐竜絶滅が、巨大隕石の落下で巻き上げられたエアロゾルによる急激な気候変化と酸性雨を原因とすることや、2億1000万年前の絶滅も大隕石の落下により酸素や炭素などの同位体量の変化が原因だということも判ってきています。地球環境の危機が叫ばれる今こそ、科学そして天文学の視点が大切なのです。

※11月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。