集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第29夜「金星・木星そして土星」(2012年1月13日号)



「なぜ誰か私に星座を教えて、星座に親しむようにしてくれなかったのか。それはいつでも頭上にあるのに、今日まで私はほとんど知らなかったのだ」と、英国の有名な詩人カーライルは綴りました。同感なさるみなさんも多いのではないでしょうか。今週から来週は、星座に親しむ絶好のチャンスです。夕方に月が出ていないからですね。

 特にこれからは、おうし座・オリオン座をはじめ、ぎょしゃ座・ふたご座・こいぬ座・おおいぬ座など、きらびやかな冬の星座たちが夜空を飾る時季。これらの星座は、比較的明るい星々が、V字形・鼓形・五角形・三角形……と、わかりやすい形に並んで、とても見つけやすいのです。ぜひ、星座の世界に思いっきり浸って、少しでも厭なことを忘れて、星々に癒されてみてください。

 ただ、星座を覚えるときに、敢えて無視しなければならない明るい星があることは、みなさんもご存知のことと思います。動く星、つまり惑星です。これに目がいってしまうと、翌年の同じ季節には、星空のようすがずいぶん違うなぁ、ということになります。

 今頃の夕方は西空のみずがめ座に金星が、南空高くのうお座に木星が、そして明け方の南東空のおとめ座に土星が見えています。おとめ座には1等星スピカがあるので、まあまあわかりやすいですが、みずがめ座・うお座は暗い星ばかりで、なじむのが難しいですね。

 来年同時期、金星はいて座で明け方太陽に近く、見るのすら困難ですが、木星はおうし座の1等星アルデバランに近くて色の対比が楽しみです。土星はてんびん座に位置して、スピカとさそり座のアンタレスの真ん中にいるはずです。

 土星は目で見るだけでなく、もちろん望遠鏡で見るのをお勧めします。特に土星と地球の位置関係によって周期的に傾き方が変化する土星の環は、今が一番かっこよいですよ。小学4年生の時、近所の星のお兄さんに望遠鏡で土星を見せてもらったおかけで、いま私は「星のおじいさん」になりました。

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。