集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第4夜「みずがめ座流星群」(2011年7月22日号)



 今週末は、夜半前まで月が邪魔せず、絶好の星見チャンスです。南の空の美しいS字カーブは、さそり座の星座名ScorpionのS、ローマ字綴りSasoriのS、英語の夏SummerのS、南SouthのSと、見事なSづくしです。この週末は、主星アンタレスを取り巻くS字カーブを、ゆっくりとお楽しみください。

 和名の魚釣り星も、S字カーブを釣り針に見立てた傑作です。釣り針が天の川に浸っている様子は、傑作を更に大傑作にしています。まるで、巨大釣り針で、誰かが天の川を西へ西へと引っ張っているようですね。

 来週28日は、さらに新月3日前と夜半過ぎまで月が無く、その日みずがめ座デルタ流星群が極大となり、この夏一番の流星観測チャンス。

 夏の流れ星といえば、なんといっても8月13日未明のペルセウス座流星群ですが、特に昔、磐梯山頂で仲間と見たのが凄い思い出です、今年は翌日14日が満月で、最悪条件(来年と再来年は好条件)です。28日はぜひ晴れてほしいですね。

 みずがめ座は暗い星しかないので、街灯が明るい都会では探すのが困難ですが、さそり座の隣、いて座のそのまた隣という感じです。しかし流星群の観測では、放射点(輻射点)がある星座がわからなくても何とかなります。そちら方向から放射状に飛ぶからです。

 みずがめ座が、日本の大部分では南天にそれほど高く上らないので、流星の大部分は南方向から上側に向かって飛びます。出現規模は1時間あたり十数個で目立つほど明るい流星は少ないのですが、例年堅実に出現しているので、今年も楽しみです。

 なお、同時期にみなみのうお座流星群とやぎ座流星群も、出現数は少ないですが活動しているはずです。ペルセウス群は駄目だからといって、お休みしないようにどうぞお願いします。

※7月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。