第123夜「まっ暗な夜空」(2013年11月1日号)
一番星みいつけた、二番星、三番星、そして四番星以降は省略。だって、その頃になるとあちらこちらに見え始めて、収拾が付かなくなりますから。でも、それは空の暗い場所での話し。都会の空では、街明かりが夜空を照らして、おそらく三番星までで、ほぼそれっきりでしょう。
ともかく宵空の一番星は、このところ連続二回話題の金星です。で、二番星は織り姫星、三番星は西空低くにうしかい座のアルクトウルス(夕焼けが邪魔して見えないかも)、四番星以降はみなさんの観察にお任せします。
ともかく日没後、満天の星空で3000なにがしの星が見えるようになる(天文薄明終了という)まで、今の季節なら1.42時間(東京で)、つまり1時間25分強が必要です。東京でと申し上げましたが、この数字は緯度によって変化し、北の地域では増加します。また、季節によっても変化し、例えば毎年1月初めに1.52時間、3月初めに1.40時間、7月初めに1.89時間、10月初めに1.41時間となります。
良く「秋の日は釣瓶落とし」と言いますが、実は「春の日も負けず劣らず釣瓶落とし」なのです。たぶん春の夜空は霞が掛かっているから、さほど暗くならないのでしょう。夏の日本は、そもそも梅雨が長く続き、まっ暗になるのが大変遅いことになかなか気づきませんが、冬の空は日没そのものが早いので、これもまた薄明終了時間が少し遅めなことに気づかないものです。
秋はすぐ暗くなるわけですが、あいにく一等星が冬の輝かしく華々しい星空に比べて少ないために、寂しく侘びしさがつのりますが、天高く澄み切っているので、星を観賞する絶好の季節であることをご存じの方も少ないようです。ですが、秋は天の川やアンドロメダ大銀河、ペルセウスの宝石箱、すばるなど、星空の名所はたくさんあります。
もしも双眼鏡や望遠鏡をお持ちなら、早々に暗くなる秋の夜空で、星空散策としゃれ込んでみませんか。とても楽しいですよ。
※11月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。