集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第41夜「春の満月」(2012年4月6日号)



 4月にはいると、日ごとに暖かくなり春らしさが増します。昨年の大震災のことが、早く完全に過去のものと言えるくらいまで復興が進んでほしいですね。

 この頃は毎日1分~1分半ずつ日の入りが遅くなり、日の出も同じくらいの時間早くなってきますから、昼の長さは毎日2分半~3分ずつ長くなります。だから暖かくもなってくるのです。
それに応じて宵闇が訪れるのも遅くなってきます。日の入り後1時間経っても、西空には薄明かりが残り、完全に暗くなるのは20時を待たなければなりません。

 昨年10月から宵空を飾っていた木星は、いよいよ西空に低く沈みかかるようになり、これから半年間は開幕したプロ野球と反対に、シーズンオフになります。木星のすぐ上に輝く(間違いなく今頃の一番星)金星は、今月末まで金星としては日没時、最高高度を続けますが、5月に入るとがんばり続けることは出来なくなり、6月には宵空にサヨナラを告げます。

 でも今は、有名なすばるのそばにあって、プレアデスの姉妹達と「私の方が美人だわ」と自慢しあっているように見えます。双眼鏡でその自慢のし合いを見ていると、とても人間的でたいへん楽しいですよ。

 でも残念ながら今週は月が明るく(7日土曜が満月)、美人の競い合いもイマイチです。なにしろ、月の女神の方がダントツですから。ただし、春がすみがそれをベールに包むかも知れません。それはそれで色香があって女性らしいですが……。いにしえから我が日本人は、月にいろいろな名前を付けています。月を魔女の住み家程度にしか見ない西洋人に較べて、明確に文化の違いを感じることが出来ますよ。

 高層雲に煙る春の月も、様々な名前で呼ばれています。烟(えんげつ:けむる月)を始め、朧月(ろうげつ:おぼろ月)、淡月(たんげつ:あわい月)などがその代表です。みなさんのお住まいの当たりでは、どのように呼ばれていますか。探索されては如何でしょう。

※4月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。