集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第132夜「木星の赤い目玉」(2014年1月3日号)



 みなさん、明けましておめでとうございます。みなさんにとって、今年が、より良い年でありますように。でも、今年が本当に良い年になるか否かは、運とか何かではなく、みなさんの努力などによるものですね。もちろん地球より遙か遠くにある星のせいではありません。

 例えば、おうし座の一等星アルデバランは、地球から65光年の彼方に、オリオン座の0等星ベテルギウスは、640光年の距離、ふたご座の一等星ポルックスは、この3つの星の中では最も地球に近く、34光年しか離れていませんが、34歳以下の方なら、お生まれになる前の星の光を今御覧になっていることになるわけですから、ポルックスがそんな方々の運命を示すはずはありません。

 惑星は、恒星よりずっと近くにはありますが、地球からの距離は全惑星とも異なり、しかもそれぞれかなり変動します。その瞬間の惑星が、みなさんに影響を与えるわけがないことは明白です。

 ですが、みなさんがポルックスがあるふたご座内に、現在同居している木星を望遠鏡(小型のものでも結構です)で御覧になると、みなさんの運命は良い方向に変化するかも知れません。というより、きっと変わるはずです。なぜなら、ガリレオ衛星と呼ばれる4個の衛星と縞模様と赤い目玉(ではなく大赤斑と呼ばれる楕円形)が見えるはずだからです。

 ガリレオ衛星は、それぞれ、公転周期が異なり、また縞模様も時々消滅することがあり、さらにまた目玉は木星の自転周期の関係で、裏側に行っていて見えないことがあります。だから、いずれも見えれば「ラッキー!」です。というより、そのような観測を何時間・何日・何か月と連続して行えば、もうみなさんは、天文学者気分間違い無し!面白いですよ。

 今年は、イギリスの物理学者フックとフランス(元はイタリア)の天文学者カッシニが木星に大赤斑を見つけて450周年を迎える、記念の年でもあるのです。

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。