集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

目次

第14夜「アンドロメダ大銀河」(2011年9月30日号)



 9月末になると、午後8時頃には東の空に明るい星が上ってきます。月・金星に次いで明るく輝く木星の登場です。さすが天界の王者ジュピターの名前にふさわしい、どっしりとした輝き方を見せてくれます。

 それに比べると、先に上っているとはいえ、肉眼で、やっとこさっとこ見ることができる情けない明るさ(5.7等)の天王星は、天の主(ウラヌス)ですが、太古の昔から人々に見られている木星とは大違いで、たったの229年前に見つかったばかりです。つまり、大昔の占星術師には知られていなかった。だから、星占いが当たらなかった。…ん、ちょっと冗談がきつかったでしょうか。

 私は、浅学の身ではありますが、東日本大震災の発生をいい当てた星占いは、なかったと思います。そもそも、占星術によって発見された天体というのを、私はついぞ聞いたことがありません。なので、いくら歴史を刻んでいるとはいえ、占星術は、発見とその客観的検証を重視する科学とは異質なものであることは、改めてここで申し上げる必要もないでしょう。

 ですが、不思議なのは、古くから有り続けたはずのアンドロメダ大銀河やオリオン大星雲の記録が、古代にはなかったのはなぜなのか? 中世以降になって、初めて人類はそれを記録しているようなのです。いつも見えていると、変化が無くて存在に気づかないのか、恒星のようにキラッと見えないので注目されなかったのか、ともかくちょっと不思議です。

 その不思議なアンドロメダ大銀河を、今月末の新月時(27日)には、宵口から未明までしっかり見ることができます。場所は、アンドロメダ座の3個の二等星の真ん中にあるベータ星の北側です。肉眼で無理な場合は、やや口径が大きめ(3.5~5cm)の双眼鏡で探してみてください。むかし大星雲と呼ばれていたように、いかにも白い空のシミのように見えますが、もちろんシミではなく、4000億とも5000億ともいわれる恒星とガスの巨大な集合体です。

 おまけに30~50億年後の将来、私たちの銀河系と衝突すると考えられています。これは、占星術ではなく、天文学的な予測という点で、多いに注目に値する天体です。

※9月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。