第17夜「オリオン座流星群を見よう」(2011年10月21日号)
20日(木曜)に下弦の半月になりました。こんな日の月は、上ってくるのが遅く、夜半頃になります。日を追うごとに月の出は遅くなり、月明かりの邪魔が無くなっていきます。星空を眺める絶好のチャンスです。
流れ星は暗くて一瞬のことなので、月明かりの有無が、その観察環境にてきめんに効いてきます。流星観測に向かない満月の頃は、年ごとに11日前後ずれていきますから、同じ日なら3年ごとに、華々しく夜空に輝く月が、逆に流星観測の邪魔を繰り返すことになります。
今年のオリオン座流星群が極大になる10月22日の明け方は、細い月がありますが、まあまあの条件になります。来年も新月過ぎになるので、明け方に月光の邪魔が入りません。ただ再来年はあいにくで、3年後はまた良くなります。
オリオン座流星群は、5月のみずがめ座流星群とともに、有名なハレー彗星を母彗星(その流星物質を軌道にばらまく彗星)とする流星群の一つで、観測条件がよいときは毎年コンスタントに、1時間あたり20~30個ほど見ることができます。22日の明け方がピークの予定ですが、今年はどうなるでしょうか。
ところで、普通の流星群はせいぜいマイナス1等級までですが、ときおりまるで満月が落ちてきたほどのトンデモナイ明るさの火の玉が飛んでくることがあります。これを「火球」といいます。11月になると、その火球を見るチャンスが増えます。
17世紀以降、他の月の火球目撃数は、(日本全体で)最大15件以下なのに対して、毎年11月は、平均30件近くにもなり、突出しています。これは、平均して全国のどこかで毎日1件目撃されるくらいの頻度です。この、11月の火球は、主におうし座流星群に属するもので、夜半前に多く出現します。
火球を目撃した場合は、一瞬のことですからなかなか難しいことではありますが、明るさ・色・飛んだ位置・音と痕の有無などをメモしましょう。もしかすると、地上に落下して隕石として見つかるかも知れないからです。
※10月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。