第191夜「金星・火星の会合+地球照」(2015年2月20日号)
今日20日から22日にかけては、早めに帰宅されて、黄昏(誰彼とも:どちらもタソガレと読む)時(日没半時間~1時間後くらいまで)、平たく申し上げると夕方の西空を、目を皿のようにしてご覧ください。すると、宵の明星金星のすぐ近くに赤い火星が見えるはずです。
ですが、注目はその接近角度。天文学的には離角(りかく)と言いますが、それが20日0度58分、21日0度35分、22日0度25分、23日0度40分と変化します。最接近の22日にはほとんどくっつくくらいに接近しています。
ちょうどそのとき、両惑星の左上(その間が32度)に三日月が見えていますが、そのサイズが0度33分ですから、月の直径より小さい角度しかありません。腕をぐいと伸ばして指を眺めると、指1本の幅の半分ほどしかないはずです。つまり指で金星と火星が隠せますよ。
でも22日の最接近は、正確には午後3時に黄経の合と言い、そのときの離角は更に小さく、0度24分42秒、つまり夕方6時半より0.3分ほど接近していました。勿論日中ですから、もしかすると明るい金星は見えるかも知れませんが、火星はとてもとても。
もし望遠鏡をお持ちでしたら、ぜひこの接近会合(といっても金星と火星が打合せをするわけではありません)をご覧ください。月が視野一杯に見える程度の倍率で、金星と火星が視野内に見えているはずです。
でも、望遠鏡をお持ちでなくても、その日、楽しめることがあります。それは月の暗い側のこと。肉眼でぼんやり見えていますね。太陽の光が当たっていない側がなぜぼんやり見えるのでしょうか。これについては、もう600年ほど前の有名人レオナルド・ダ・ヴィンチが科学的に説明しています。地球照(ちきゅうしょう)と言って、地球の雲による太陽光の照り返しです。日本では、毎年春先の三日月頃が見頃になります。中国大陸上空の雲が原因になるからです。
※2月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。