集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第193夜「宇宙は「ありのまま」なのです」(2015年3月6日号)



 今晩(6日)は、日没30分後くらいに月が上り、明朝日出後まで月はほぼまん丸のまま頑張って見えています。明るい一等星以外全部消し去ってしまうほどの圧倒的な明るさで輝いていますから、全天一の明るい星=太陽に次ぐ女王様のような満月ですね。

 でも明日からは夜な夜な瘦身になって行き、2週間後の20日には、遂に一晩中見ることができない新月になってしまいます。それは人間誰でもいつまでも華やいでいることは出来ませんよ、と伝えてくれている気がします。

 太陽だってそうです。今から50億年とも70億年とも言われますが、その直前一時的に明るく、そして今のサイズの数十倍まで膨れますが、すぐそしてそれからは永久にしぼんでいき、周りに自らの体を作っていたガスをばらまいて、やがてほとんど光を出さなくなる恒星としての死に至ります。文字通り栄枯盛衰で、宇宙に不滅はありません。

 私は、毎年この時期になると、被災地のみなさんにどのようなお声掛けをすべきか悩みます。あの忌まわしい災厄が起きた日の星空は一生忘れないでしょう。我が家で見た宵空は、いつも通りの空でした。この頃、2009年から暗くなっていた食変光星のぎょしゃ座イプシロン星は、明るさを元に戻し始める直前でしたし、近々の超新星爆発が話題のオリオン座のベテルギウスも健在でした。そして、今も健在です。

 最近日本の天文学の活躍が目立ちます。たとえば、2005年以降数年間かけて発見された、130億光年という遠距離にあるヒミコという名の天体。あるいは、2014年8月にくじら座に発見された、太陽の百倍以上の質量を持つファーストスターから放出されたガスによって作られた第二世代星の発見などです。いずれもハワイにあるすばる望遠鏡の観測によるもので、気の遠くなるような時空間のかなたにある天体です。

 東日本大震災から4年が経とうとしている今、改めて、あの日のことを思い出しながら星空を見上げると、宇宙は全く「ありのまま」なのだということを深く感じるのです。

※3月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。