集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第206夜「南半球は冬!」(2015年6月5日号)



 そろそろ梅雨の季節。西日本はすでに入梅して、毎日湿気の多い日が続きます。そして、晴れていれば、なかなか日も沈んでくれず、午後8時近くになっても、西空には薄明かりが残っているほどですね。星が見たいみなさんには、なんとも恨めしい季節です。でも毎年のことですから、まぁいいか!骨休めをして、梅雨明け後の観測シーズンを待ちましょう。

 でも、どうしても我慢が出来ないみなさんは、西アフリカは除きます(おっと、西アフリカはまだ北半球だった)が、南半球に行って星空を楽しみましょう。なぜなら、そこは夜が長い冬ですから。

 つまり、地球は丸いのです。一部の人は月食時の地球影の丸さから、地球が丸いことは知っていたようですが、鎖国をしていた江戸時代の人は、南国の空がまるで違って見えることを知りませんでした。だから、地球が丸いことに気づかなかったとしても、それは仕方がないことですね。

 現代の日本で生活しているみなさんは、行きたいと思ったら、オーロラを見に行くこともそんなに難しくないし、南十字星を観望しに飛行機に乗ることも困難ではありません。いかがですか、南半球の国に行ってみませんか。行くなら今がチャンスですよ。

 地球が丸いおかげで日本とは反対に、一年の内で一番夜が長い季節(そのため日照時間が短くて寒い)ですが、長い時間星が楽しめます。ちょっとおかしいのは、日本では暑い季節の星座と思っていたさそり座が、南半球の国では寒い季節の星座なのですね。そして、南十字星も寒い季節に見えるわけです。

 常識って一体何でしょう? 日本では、お勝手とトイレは普通北側に、居間は南向きの部屋にしますが、南半球の国では反対ですよ。洗濯物も北側に干すのです。今更申し上げるのも変ですが、私たちは平面上に住んでいるのではなく、地球という球面上にいるのですね。そんなことを考えて眠れなくなったら、星空を見る絶好のチャンスです!

※6月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。