第207夜「日出が早いですね」(2015年6月12日号)
突然ですが、夏至という日ご存じですか。あちこちのカルチャーセンターでお話するとき、50~60代のみなさんに、夏至はいつですか? と質問しても、残念ながらみなさん頭をかしげるばかり。春分や秋分は祝日ですから正しいお答えが・・・。いえ、そうでもないのです。年によって移動しますので。
というわけで正解は、今年は夏至が再来週月曜の6月22日ですが、2016~18年は6月21日になり、19年は再び22日に戻ります。20~55年までは21日ですが、56年になると20日になるはずで、以後しばらくは20日と21日が登場し、22日は無くなります。22世紀になるとまた一時元に戻ります。
なぜこんな複雑なことになるかというと、閏年の入れ方が一因です。閏年は原則4年に一度挿入されますが、400年に3回省かれます。でもこれでも調整が正確ではなく、今から3223年ほど経過すると、1日ずれてしまいます。これをどうするかは、今のところ早ければ西暦4800年頃に国際的大問題になるはずです。
まぁそれは将来のこととして、みなさんは夏至の日に日出が一番早く、日没が一番遅いと思っておられます。これは違います。新聞に掲載されるその日の日出日没時刻を、毎日丹念にご覧になっていると、それが判ります。
みなさんお住まいの所、正確には緯度によって異なりますが、例えば東京など北緯35度地点では、最も早い日出が今頃の6月13日で4時25分頃、最も遅い日没が6月30日で19時1分頃です。北緯40度地点では6月14日と6月29日、50度地点では6月17日と6月26日になります。
じゃぁ、一体夏至は何なのさ? ですが、夏至は太陽が一番北に片寄り、その中心点が夏至点という天空の仮想点を通過する瞬間が、どの日に含まれるかで決定されます。今年の場合は、それが22日1時29分なので、夏至が22日なのです。そして、昼間が約14時間25分で一番長くなります。いかがですか?
※6月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。