集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第205夜「北斗七星と太陽の意外な関係」(2015年5月29日号)



 6月3日が満月ですから、今晩の宵空も月が明るいですね。でも北斗七星は何とか見ることができるでしょう。北斗七星というと、有名な北極星の探し方は誰でもご存じかと思ったら、最近ではそうでもないのですね。実は小学校であまり北極星の探し方を教わらないようです。

 かつてイギリスやオランダが海洋国家として世界制覇が出来たのは、船乗りが北極星や南十字星を頼りに航海するすべを知り尽くしていたからだと、かつては言われたものですから、誠に寂しい限りです。

 柄杓のます先の二星αとβをポインターズ(指極星)と呼ぶのはまさにピッタリで、α星からα~β間の5倍(良く7倍と間違えられます)に北極星があるというのは、一昔二昔前の小学生なら誰でも知っていました。

 ところでこのα星と柄杓の柄の先にあるη星を除く、つまり間の5星β・γ・δ・ε・ζ星と空の反対側にあるシリウス星などが一団になって運動するおおぐま座運動星団(別名シリウス・スーパー・クラスター)だということはあまり知られていません。ましてや、我が太陽はそれらの中に位置していることは、ほとんどの方がご存じないようです。ただし、太陽がそれに所属しているかどうかは、まだ断定されていません。

 ざっと見る限り、太陽はこれらの星たちよりも年齢が古く、知らぬ間に運動星団に取り巻かれた、あるいは紛れ込んだように見えるのです。どの星も、一人っ子で生まれてくることはなく、必ず複数それも何十何百も一緒に生まれてきます。太陽も今から50億年ほど前に、半径10光年の球の中で1500~3500個の集団として誕生したと言われ、星団中で番長クラスの巨大質量星(複数)が星団そのものを破壊させたらしいのです。

 人間世界でも政治や経済の権力者がのしていますが、もしかすると星の世界でもそうなのかも知れません。太陽も弾き飛ばされたのでしょうか。

※5月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。