第227夜「こんな遠方にも系外惑星!」(2015年10月30日号)
観測手段の進歩に脱帽!今年に入って続々と遠くに系外惑星が見つかるようになりました。現在最遠のものは、何と2万5000光年の彼方で発見されました。自分で光を出さない惑星は、距離がせいぜい100億km程度(0.001光年)だろうと言っていたのは、今は昔の話!桁違いに遠い!恐るべきことです。
なぜこんな遠くまで惑星が見つかるようになったのかと言えば、それは完璧に観測方法の進歩によります。つまり、2億kmも遠方から常時天体を睨んでいる赤外線観測衛星と、高山に設置された大望遠鏡赤外線観測装置との連係プレイでした。
太陽系から銀河系中心までの距離2万8000光年に較べて遜色ない距離にある系外惑星が見つかったことは、そんな遠方では銀河系内の塵の遮蔽で、普通の星でも相当に暗くなってしまいます。なので、通常の光学観測では見通すことができず、赤外線や電波に頼るしか無くなってしまいます。
ですが、波長の長い電波では分解能が悪くなることから、言ってみれば“ぼやけて”しまいます。赤外線ならソコソコなので、見つけることができたのでしょう。
繰り返しますが、観測手段の格段の進歩のおかげなのです。でも、その進歩の第一歩は、みなさんが夜空を見上げることにあります。前にも申し上げたかも知れませんが、(この頃あちこちで申し上げているので、みなさんにいつお話ししたか忘れてしまいました…)星を見ることはタダです。でも、それこそが天文学勉強の第一歩になります。例え何万光年遠くの星を見ることは無理だとしても、そこそこの距離の天体を御覧になることです。できれば望遠鏡で。
でも、肉眼でも見える明るさのアンドロメダ大銀河は、230万光年という遠距離にありますから、ぜひ挑戦してください。来週には夕方月明かりが邪魔しなくなりますから、絶好のチャンス!その他、夜空にはたくさんの星たちが、みなさんとのお話を待っていますよ!
※10月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。