第226夜「太陽系が生まれたのは?」(2015年10月23日号)
チョー個人的なことを申し上げてナンですが、私は今月で69歳を超えました。実は、私が調べた20世紀に生を受けた全世界の天文関係者(学者・アマチュア全員)445人の平均寿命は68.95歳ですので、それをクリアできたことが嬉しい限りです。これからは、少しでもそれを引き上げたいと頑張っています。皆様もぜひご協力お願いします。
ところで、私の一つ下の人がいわゆる団塊の世代のみなさんです。当時は大変でした。なぜかというと、入試に及んで絶対に落ちられなかったからです。つまり、浪人になるともっと大変!が予想できたからでした。
今から100億年前に、銀河系ではベビーブームがピークでした。その当時、太陽のような恒星の出生率は、現在の30倍もあったそうです。団塊なんて言う生やさしさではありませんでした。今は、銀河系全体が年間で1.8個の出生ですから、当時は50個以上のハイペースでした。
そのペースが落ち着いたのが、今から50億年前のこと。そこで太陽系が誕生したわけです。完全に遅かったため、太陽系はほとんど邪魔されず、整然と安全に誕生しました。もし、あちこちに密集している中で生まれていたら、近所のガキ大将に弾き飛ばされていたかも知れません。
また、太陽系誕生はるか以前に、つまりベビーブームの頃に、よりたくさんの恒星が生まれていたために、良かったことがあります。それらたくさんの先輩が大量の重元素を生産してくれ、やがて一生を終える際の超新星爆発で、それを周囲にばらまいてくれたおかげで、私たちは鉄などの重元素を工業的に現在利用できることになったわけです。また、様々な貴金属を手にしてニコニコできるのも、そのようなプロセスを経たからです。多数の先輩達に感謝しましょう。
今週は宵の口、月が明るいですが、明るい惑星は一つもありません。ですが、午前3時頃には東空に金星・木星・火星が賑やかです。
※10月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。