第30夜「日本の星座」(2012年1月20日号)
先週に引き続き、今週末から来週の宵空は23日に新月なので月明かりが無く、明るい星で花盛りです。西に金星と木星、南東空にそれに次いで明るいシリウスが輝いています。ただし、火星が地球に接近したときには、シリウスや木星より明るくなることがあります。
金星と木星は、20日には54度も離れていますが、2か月後の3月14日には、わずか3度角まで接近します。くっつくほどではありませんが、ぎょっとして慌てて天文台に連絡などなさらぬように。。。
そんな金星が西空に沈むころ、頭の真上近くに赤い星が昇っています。人によっては一番赤い星だとも言い、日本ではそのものずばり「赤星」と呼ばれます。おうし座のアルデバランです。
その赤い星があるあたりにV字形の星の並びが見えます。アルデバランははるか手前(地球から67光年)にあるので、所属しませんが、このV字形のヒアデス星団(130光年)のことを、日本では釣鐘星(つりがねぼし)と言います。まるで大晦日の夜に撞かれる除夜の鐘みたいですね。
実は、大晦日は1月22日です。もちろん昔の人が使っていた太陰太陽暦での十二月晦日の話ですが・・・。そして、正月元旦がその翌日、つまり1月23日です。今の若い方々はご存じないことでしょうが、昔、私がまだ子供だった頃、江戸ではない、都内の街中で三河万歳(三河地方に伝わる正月の祝福芸)の方々が、鼓を肩に担って各家を回っていたものでした。
そんな正月風景が星空にも見ることが出来ます。オリオン座が鼓に見えますね。なので、つづみほし(鼓星)と言われます。また、北東隣のふたご座の二本の平行線を、松杭(まつくい)あるいは門松(かどまつ)と言い、やはり正月風景の一つになります。
正月にお家でゆっくり将棋をなさる方には、オリオン座の北にぎょしゃ座の五角形、駒形星が用意されています。将棋の駒ですね。
※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。