集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第33夜「南極老人星が見えますか?」(2012年2月10日号)



 11か月前のあの悲しいでき事以来、何度、坂本九さんの名曲「上を向いて歩こう」を聴いたり口ずさんだりしたことでしょう。良い曲ですね。下を向いてばかりいては、気持ちは荒むばかりです。

 ぜひ上を向いて星空を眺めましょう。どなたの真上にも星空が広がっています。そしてそこには、おもしろいことがたくさん見つけられます。今まで誰も見ていなかった星だって、世界に先駆けて発見できるチャンスだってあります。

 また、昔からずっと見続けられていた星にも、新発見があります。色や明るさを変えたり、模様が変わったり、様々です。星は生きており、いつも姿を変えているからです。

 肉眼で見るだけでも楽しいですが、双眼鏡や望遠鏡をご利用戴けるなら、天体観望の楽しみは百倍にも千倍にもなります。そして、肉眼では見つけにくい水平線や地平線近くにも、たくさんの星があることにも気づきます。

 中国北部に住む人が南部に行くと見えるようになる星を南極老人星と崇め、長生きしてその星を一度でも見ようと伝えました。一度見れば十年長生きするとも言われ、七福神の寿老人という神様の化身とも見られました。

 その星が毎年2月初めの20時半から21時頃まで、南の水平線や地平線近くに赤く光って見ることができます。といっても、海抜高度0m地点で北緯38度以南、1000mで39度以南、2000mでは39.3度以南の場所でないと見られません。

 探すポイントは、おおいぬ座の輝星シリウスです。シリウスの真下やや右(西)を双眼鏡でパトロールしましょう。地平線や水平線上に3等くらいの明るさで赤くポツンと見えたなら、その星の可能性大です。

 外国ではりゅうこつ座エータ星、別名カノープスといいます。名まえを聞いたことがあるかもしれません。本当は白い輝星なのですが、大気による光の吸収ではるかに暗く赤っぽく見える星になってしまうのです。地球に大気があることを実感することもできますね。

※2月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。