集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第80夜「すばるが何個に見えますか?」(2013年1月4日号)



 黄色い木星が、宵空に明るく輝いています。その南東側には赤い一等星、おうし座のアルデバランが木星にはやや負けますが、耀いています、アルデバランは「後に従うもの」とか「後を追いかけるもの」という意味のアラビア語ですが、何の後なのかといえば、前、すなわち西側にいる「すばる」(プレヤデス星団)の後を追いかけているのです。

 実は現在、すばるを追いかけているのがアルデバランではなく木星です。西へ西へと追いかけているのですが、現在スピードを急速に落とし続け、今月28日頃には止まってしまい、反対方向へと動きを変えていき、その後は年末まで東へ東へと動き続けて、6月には隣のふたご座に進入し、11月中半に同星座東部で動きを止め、再び逆に動き始めます。来年3月初めには、再び東への道を取り始め、7月中半には更に東隣のかに座に移動します。

 こんな具合に、木星はだいたい一年に一星座居場所を変えていくので、年の星「歳星」と呼ばれています。およそ十二年で黄道を一周するので、十二支が考えられたという説もあります。

 ところで、今木星がラブコールを送っているすばるですが、みなさんの目には何個に見えますか? 6個見えれば普通の目ですね。ところがみなさんよくご存じの通り、プレアデスは七人姉妹です。どうして七人姉妹が六人なのでしょうか?

 古代ギリシャの天文詩人アラトスは、自分では6個しか見ていませんが、昔は7個あったと言うことを知っていました。その100年後のヒッパルコスは空が綺麗なときに7個見えると言いました。だが西暦元年頃のオヴィディウスやヒギヌスは7個目の星が見えなくなったことを物語にしました。

 面白い話なので、ギリシャ神話の本をご覧下さい。彗星になったなどとも言われますが、中の一つが忍者が使う火遁の術のように内部からガスを噴出させて、暗くなったのが真相でしょう。

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。