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あつぼし見上げて夜話

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第82夜「冬の天体観望会」(2013年1月18日号)



 天体観望会に参加されたことはありますか。望遠鏡が大小何台か並び、双眼望遠鏡なども用意されています。もちろん公開天文台などで行われる場合は、より大きな望遠鏡がその中心になっています。

  ふつうの集会と違うのは、真っ暗な中で行われることと、必ずいる何人かの走り回る子どもが注意される(望遠鏡の三脚を倒すから)ことと、若いお兄さんお姉さんが懸命に説明し続けていて、その近くでニヤニヤする師匠らしき人もいることでしょうか。

  実はこの「天体観望会」、命名者は筆者です。40年近く前の1974年1月19日、東京渋谷にあった五島プラネタリウムの屋上で、月例で実施されることになったものです。

 そのとき、「天体観測会」(天体観察会」などが提案されましたが、変光星観測者である筆者は、「観測」という用語を使うことにどうしても抵抗があったのです。測ったり科学的に観察したりすることではなく、見て愉しむことだったからです。

  結局、筆者の頑強な説得で、当時までは国語辞書にはなかったものが採用されました。今では、ずいぶんとポピュラーになっていますね。

 でも、7月や8月の夏場の数え切れないほどの参加者数よりも、1月や2月は“数え切れます”。筆者などは、少なくとも空っ風が吹き抜けて夜空が冴え渡る関東地方で、観測は冬場に限ると思っており、大望遠鏡で天体を見せてもらうことができるなら、一にも二にも参加してしまうのに、人間は寒さに弱い!

 まして、正月そうそうなら、そうとうに参加しにくいでしょうか。でも今年は違いますよ。木星と月が空高く頑張っており、しかも18日の月は月齢7日の半月です。みなさんよくご存じのように、上弦の月付近は、明暗界線付近のクレーターに日光が真横から当たり、影がくっきり見える絶好の見ごろ。いかがですか、真冬の“天体観望会”は?

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。