集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第85夜「冬の星座が花盛り」(2013年2月8日号)



 立春を過ぎたばかりで、これから梅の花がちらほらという按配ですので、花や緑の季節はこれからですが、夜空には赤や黄色や白や青(っぽい)の輝星たちが花盛りです。有名な「すばる」があるおうし座は、どちらかというと秋の星座に入れられがちですが、オリオン座やぎょしゃ座に位置が近く、冬の星座と申し上げても良いでしょう。アルデバランを、人によっては一番赤い1等星とも言いますし、すばるはガス星雲を持っていることと、少し暗くて明るさを感じにくいことが、これも人によっては青いと言います。

 同じく1等星のぎょしゃ座のカペラはまさしく鮮やかな黄色ですし、今晩無事にあるかどうか(もうすぐ超新星爆発をすることが予想されています)で注目の、オリオン座のベテルギウスは、読んで字の如しの赤色超巨星。また、その南東側にあるおおいぬ座のシリウスは、意味が「焼き焦がすもの」であるにかかわらず、白く輝く全天一の輝星です。

 というわけで、ちょっと気の早い話ですが、今晩「星見の宴」はいかがですか。10日が新月だから、天の川が見えるくらい暗い空になるからですね。でも、第64夜の「天の川を見よう」でお話ししたとおり、東京などでは40年以上天の川が見えません。もちろん光害のせいです。

 マメ科のオジギソウは、夜になると葉を下げます。これは0.2ルックスもある満月の光を避けるためだそうです。また、植物は周囲が0.05ルックス(星明かりだけの明るさ)まで暗くなると、光を感知しなくなり、完全な眠り(就眠活動)に入り、明けの薄明(かわたれと言う)の6ルックスになると、目覚めるそうです。最多の体内時計を持っている生物が植物だそうです。

 でも、今は植物たちに強敵がいます。そう、街明かりの光害です。だから最近、街路樹の立ち枯れが目立つと言われています。

 もちろん私たちの星見にも、大敵ですね。

※2月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。