集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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特別編:「集まれ!星たち」活動に参加させて戴いて(2012年3月11日号)



 昨年7月からこの活動に参加させて戴いて早9か月。私はこの間にさまざまな勉強をさせて戴きましたが、中でも一番のそれは”星のボランティア活動とは何か”ということでした。いろいろな状況から東京を離れることができなかった私には、何かお役に立てることといえば、これしかなかったのです。

 でも、このことはある意味では素晴らしい経験になりました。なぜかというと、星のテーマは、どなたにもおわかり頂けるからです。星は、ただ夜空を見上げれば、どなたにも見えます。目が不自由な方でも、心で想像していただけることが可能です。

 私はこれが一つの強みだと考えて、被災者の皆さんに星を見る楽しさ、感動、そして何か大いなるものへの心のつながりを通して、未来に希望を持つことをお勧めすることにしたのです。そして僭越ながら、少しでも多くの皆さんに、星を通して宇宙に生きる人間という存在を考え、さらにお一人お一人の生き方を見つめるための小さなきっかけにして戴ければありがたいことだなと思ってきました。

 一つだけ留意したことがあります。それは「望遠鏡や双眼鏡でご覧下さい」ということは極力申し上げないということでした。望遠鏡や双眼鏡は、もちろん宇宙をより広く深く知るためにたいへん有用な観測道具です。ですが、それでは、できるだけ多くのみなさんに、気軽に星空を見上げていただくことがかないません。そのため、話題の範囲は極めて狭い範囲に限られることになりました。しかし、そのことで、逆に、星の話の原点に立ち返ることができたと思っています。

 この活動に、ご支持をされている多くの天文関係者の方々に厚く感謝いたします。特にほとんど毎回、このコーナーにおいて全くのボランティアで素敵な絵をお描き戴いた女性画家のMさんに最大のお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これからも引き続き、多くの皆さんに肉眼天文学の楽しみを味わっていただけるよう、広く広くジャンルを開拓していこうと思っています。

 どうぞよろしくお願いいたします。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。