集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第35夜「北極星を見つけよう」(2012年2月24日号)



 22日が新月でしたから、今週末は細い月が西空に見え始めます。25日は金星に接近し、26日には金星と木星の間、27日には木星に接近し、28日以降は木星から離れていきます。月が動いていることは、この頃とてもよくわかります。

 なので、月を目印にして方向を知るのは困難だということも実感できます。月日によっても時刻によっても位置を変えるからです。また、星座は毎日同じ時刻なら、ほぼ前日と同じ方向と高さに見えますが、これも毎日少しずつ西方向に場所を変えます。季節が変われば、見える星座ががらっと変わるのはこのためで、もちろん地球が公転しているからです。

 ご存じのように、日本のような北半球では、北極星はいつも真北を示してくれます。しかも北極星の地平線からの高さから、その場所の緯度も知ることができます。北緯38度の東北地方なら約38度、北緯35度の東京なら約35度という具合です。そんな便利な星なので、戦時中に日本軍の兵隊さんに支給された手帳には、北極星の探し方が紹介されていました。

 ・・・ですが、北極星探しの定番として有名な北斗七星は今の季節は北東の空にあり、もう一つの有名なカシオペヤ座も北西の空に低くなり始め、ちょっと探しづらい状況です。

 そこで19時頃、頭の真上を見上げて広く視野をとってみましょう。南の空にあるオリオン座の白い輝星リゲル。天頂近くに位置するオレンジ色の輝星ぎょしゃ座のカペラ。この2星を直線で結び、カペラから北にやや短めに伸ばしたあたりに2等星があります。それが北極星ですよ。

 また、こいぬ座の白い輝星プロキオンと、ふたご座にあってめがね星と呼ばれることもある白いカストルとオレンジ色のポルックスとの中間点を結んで、そこから2倍半北に伸ばして見つける方法も、北極星の探し方として知られています。他にもいくつかありますが、ぜひ、みなさんも新しい探し方を開発してみてください。

※2月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。