集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第7夜「セント・ローレンスの涙」(2011年8月12日号)



 大震災から5か月が過ぎ、本格的復興はこれからだとしても、いくらかは落ち着かれたことと思います。夜空を見上げて気分を一新していただければ幸いです。今週末(14日)は満月です。月の周囲には、やぎ座やみずがめ座などをつくる暗い星たちしか居ないので、ひときわ満月の明るさが目立ちます。月の西側にあるはずの天の川ももちろん見ることができません。そればかりか、夏の大三角をつくる一等星たちも目立つことがないかも・・・。

 夜中近くには、東空に木星が上って来ます、木星だけはさすが天界の王者ジュピターの名前にふさわしく、月明かりに負けることはありません。

 キリスト教のお国でセント・ローレンスの涙と呼ばれるペルセウス座流星群も、今年はお休みの年、・・・ではもちろんありません。ちゃんと出現するはずです。ですが、月明かりが間違いなく邪魔します。例年なら20個も30個も見ることができますが、今年は明るい流星数個しか拝めないでしょう。

 ペルセウス座流星群は、毎年8月13~14日ごろに極大となり、未明頃(前日23時頃から4時過ぎまで)に数多く見られる、ペルセウス座を中心に放射状に飛ぶ流星群です。まるで聖人が泣いている(8月10日がセント・ローレンス殉教の記念日:祝日)ように見えます。

 前世紀末には1時間あたり100を超える大出現を見せてくれましたが、ちょっと最近は控え目です。ただ、望遠鏡なしでできる観測なので、中学・高校生の天文部の夏休み活動によく取り上げられてきました。

 4〜5人のみなさんで、監視区域を分担し、共同で観測すると良い思い出になると同時に、時刻の測定、明るさや飛行状況(経路や途中で爆発など)、あるいは速度、流星痕の存否など天体観測のイロハを学ぶことができて、すばらしい思い出になること請け合いです。

 来年と再来年は、極大日に月明かりの邪魔が入らず、最高の条件になります。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。