集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第8夜「海王星軌道一周」(2011年8月19日号)



 20時半を過ぎると、日没直後か日出直前にしか姿を見せない水星以外、ユニークな環で有名な土星が西の地平線に沈むようになりました。土星は今春以来、宵空を飾る唯一の惑星でしたが、土星との再会は明け方の空で11月以降になります。代わって宵の東空で来月半ば以降、惑星の王者・木星が登場します。

 惑星のスターたちはめまぐるしく代わりますが、星座をつくる恒星たちは、それほど頻繁には代わりません。夏の主役、真夏の女王とか真夏のダイヤモンドと言われるベガをはじめ、アルタイル、デネブ、アンタレスなどは今を盛りと健在です。皆さんの眼で、ぜひ確かめてください。

 特に今週末から月末、そして来月初めまででは、27日が新月ですから、月明かりの邪魔もあまりなく、星空観望に絶好のチャンスです。星たちとお話してください。特に、学生の皆さんは、夏休み最後で忙しい中にも、星との対話も良いものです。色や明るさなどがいつもと変わらず元気かどうか、確かめてあげましょう。

 ところで、実は今、土星や木星以外もう一つ惑星が一晩中顔を見せるようになりました。望遠鏡でしか見ることができない暗いものですが、太陽系最遠の惑星・海王星です。この海王星は、今年国際的にも話題になっている惑星です。発見は1846年なので、特に×××周年ではありませんが、今年の7月12日に、史上初めて太陽系を一周し、元に戻ったのです。

 発見されたやぎ座の星々の間に戻るのは、地球の位置の関係で11月半ばになりますが、太陽の一周したのは7月12日でした。この60193日という日数間隔が、海王星の公転周期になります。

 年数で言えば164.8年、地球が太陽の周りを165回くらい回ったわけで、少なくとも人の一生の2倍以上、凄い長さですね。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。