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あつぼし見上げて夜話

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第112夜「正しいお盆の晩」(2013年8月16日号)



 8月21日に月はまん丸、つまり満月になります。正確にまん丸になるのは、月がちょうど太陽と正反対方向に行く瞬間、すなわち天文学的に「望(ぼう)」と呼ばれるときで、21日午前10時45分になります。

 その前日の20日が旧暦七月十五日、いわゆるお盆です。7日午前6時51分が新月(天文学的には「朔(さく)」)で旧暦七月一日でしたから、それから十四日目の晩が十五夜(七月の)だからです。

 昔から本当のお盆の晩は、必ず満月です。何故かというと、満月前にご先祖様たちは里帰りされ、満月過ぎにあの世にとお帰りになることになっているからです。暗い夜道では、ご先祖様たちが「どこが我が家なのか」判らなくなるからです。

 七夕(旧暦七月七日)の日に、空高く笹竹(正確には孟宗竹)を立てるのは、「ここがあなたのおうちですよ」と目印にしたからです。満月よりは少し暗い上弦の月ではあっても、上の方にあるというあの世から眺めたら、さぞかしよく見えることでしょう。

 満月は懐中電灯が無くても夜道を歩けるほど明るいですね。人によっては、新聞も読めると言います。だから、天体暦を調べて満月の晩を知って、夜中の登山に出かける人もいます。18世紀半ばの英国の科学者(プリーストリー、ダーウィン、ワット、ハーシェルなど)たちが、ロンドンで月光協会という集まりを毎月満月の日に近い月曜日に行っていたのは、帰り道に困らないためだそうです。今の日本では、街灯がしっかり点灯しているので想像できません。でも、本当は街灯がない方が自然なのですね。

 現代の天体観測家たちは、満月の晩は仕事にならないので、満月会と呼ぶ飲み会をその晩開いています。でも、時には赤提灯にひかれず、月明かりにひかれて、街灯のない夜道を散策なんて洒落てみませんか。ただし、くれぐれも周囲に気をつけて、ですが。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。