集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第116夜「日没がいよいよ早くなりました」(2013年9月13日号)



 私が住む東京では、日没が18時を切り、17時台になりました。17時を切って16時台に進入する10月下旬に向けて、日ごとに1分半ずつほど日没が早まっていきます。星空は、日ごとに4分弱ずつ西に沈むのが早まりますから、合わせて2分強ずつ、空が完全に暗くなる時刻、つまり星がよく見えるようになる時刻が早まることになります。逆に、日ごとに日没が遅くなっていく春は、それが合わせて5分強ずつ早まります。そのため、同じ星座が毎晩見えている感じになります。夏の星の牽牛・織女が、12月の夕方にも見ることができるのは、そのためです。冬の夜の長さは、季節はずれの星座たちを眺める貴重なチャンスを生み出してくれているるのです。

 なんだか小難しいことでスタートしましたが、13日の日没は、面白いですよ。なぜかというと、太陽が西の地平線に沈んだ頃、南の空に上弦の月がいるからです。いったい、何が面白いの? と思われた方は、日光の当たり方にご注目! ほら、真横から当たっているではありませんか。当たり前だ! と言われればそれまでですが、だから半月なのですね。月が日光に照らされて光っていることが歴然ですよ。

 さておもむろに文字盤付きの時計を取り出して、水平に置いてください。そして、短針(時針)を日が沈んだ方向に向けてください。そのとき、月がいる南の方向が、文字盤の12時の方向と短針の方向のちょうど真ん中の方向になることを、ご確認ください。これ、ボーイスカウトの皆さんが習う山や海での生き残り術の一つです。砂漠の中でも使えますね。

 もちろん夜になれば北極星でしょうが、昼間ならば晴れていれば何時でも南の方角を知ることができます。北極星は南半球では見えないのでダメですが(代わりに南十字星から天の南極を見つける方法はありますけど)、文字盤法なら両半球で使えます。もちろん、大まかな方法なので、厳密に南を測定することは出来ませんが、このことを知っていると知らなかったとは大違い。

 なお、来週19日の日没頃、時計文字盤の12時の方向、つまりほぼ真東に中秋の名月が上っているはずです。お楽しみに!

※9月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。