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あつぼし見上げて夜話

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第117夜「今年は23日が秋分の日」(2013年9月20日号)



 19日のお月見は、いかがでしたか。中秋の名月の名前にふさわしい秋を堪能されたでしょうか。いえいえ、まだまだ半袖で短パン、なんておっしゃる皆さんもおられるかも知れませんね。うだるような夏の暑さはさすがにおさまったとはいえ、まだまだとても秋とは言えない・・・。

 いえいえ、夜空にはもう秋の四辺形(外国ではペガススの台形という名の方が有名)が堂々と見えていますよ。ただし、今週は月が頑張っているので、二等星ばかりの四辺形は影が薄く、都会では見えないかも知れません。

 でも27日を過ぎると、宵空から月はサヨナラしてしまうので、四辺形は堂々と姿を現すでしょう。そうすると、夜空は完全に秋模様。もっとも、西空には夏の大三角やヘルクレス座、かんむり座(きれいな空では日本古来の星座の「太鼓星」の方が好イメージ)、南西低くにさそり座などの夏の星座がなごりを惜しむ様に、バイバイをしています。

 さて突然に秋分の話。昔の日本では、秋は立秋(今年は8月7日)から立冬(同じく11月7日)の前日まででした。年によって1日、2日ずれますが、そのほぼ中間の日が秋分です。判りやすいですよね。そして、昔の八月は必ず秋分を含んでいました。その八月の真ん中の十五日が必ずお月見(中秋の名月)でした。

 ところで秋分の日の太陽は、真東から昇ってくるとよく言われますが、違います。例えば札幌では約1度、東京では0.8度、那覇では0.5度東より北から上ります。太陽の一部でも真東から上るのは24日か25日です。どうして?と思われるでしょう。実は地球の大気の影響と、太陽が斜め右上に向かって上ってくることが原因です。大気中で光が屈折して、まだ地平線下にいる太陽を浮き上がらせて見せてしまう(大気差)のです。

 一つウンチクを申し上げると、東の語源はヒムカシ(日向し)です。宮崎県の方は知ってらっしゃることでしょう。

※9月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。