集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第155夜「真珠星」(2014年6月13日号)



 お天気が良ければの話ですが、宵の20時頃北東の空に、こと座のベガ、わし座のアルタイル(ペアにするとベガルタ仙台の名前になりますね。サッカーのワールドカップも開催間近です)、はくちょう座のデネブが作る夏の大三角が見えてきました。

 南の空には今年だけのにわか三角形、うしかい座のアルクトウルス、土星、火星が見えています。にわかなのは、土星と火星が時と共に位置を変える惑星だからで、来年は火星が宵空から姿を消してしまいます。再来年は戻ってきますが、火星も土星もずっと東に位置を変えてしまいます。

 ところで、恒星で作る大三角は夏のそれだけでなく、春にもあります。それがアルクトウルス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラ(前の2つが1等星、最後が2等星)が作る春の大三角で、見事な正三角です。

 更にもう一つ、少々横長ですが、アルクトウルス、スピカ、しし座のレグルス(1等星)が作る三角もあります。

 また、アルクトウルス、スピカ、デネボラ、りょうけん座のコル・カロリ(3等星)が作る春のダイヤモンドというのもあります。ステキな名前ですね。惜しむらくは、その中の最輝星アルクトウルスがダイヤモンド色ではなく、オレンジ色なことですね。

 さて、おとめ座のスピカは、北半球中緯度の空に見える1等星の中で最も青白い星だと言われています。みなみじゅうじ座のアルファやベータやケンタウルス座ベータなども青白いですが、日本から見ることはできません。なので、日本でも真珠星と呼ばれています。 

 そのわけは、表面が高温だからです。スピカは2つの恒星が作る連星で、A星の表面温度は2万2400度、B星は1万8500度にもなっています。約6000度の太陽にくらべると、遙かに高温ですね。

 6月の今頃は宵空に輝いていますが、9月中半に太陽と共に西空に沈むので、ドイツの人々は、ヘリアカリッシェ・ウンテルガング(夕入り星)と呼んでいます。

※6月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。