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あつぼし見上げて夜話

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第167夜「お団子はいくつ並べるの?」(2014年9月5日号)



 9月9日は満月です。その前日が旧暦8月15日、つまり十五夜のお月見です。なので、今年のお月見の月は、月の東側が少し欠けて真ん丸の月ではありません。でも、それはそれで日本的で良いものです。日本人は、諸外国人とは違って、完全な図形よりも少し完璧でない図形に「もののあはれ」を感じる国民性を持っているのだそうです。

 だから、中国伝来の十五夜の観月だけではなく、月の東側がかなり欠けた旧暦9月13日の十三夜まで発明してしまいました。さらに関東地方の人々は、旧暦10月10日の十日夜(とうかんや)というお月見まで創りました。

 こうまでして、昔の日本人は月に親しみを感じていました。これはなぜかというと、日本人が本来農耕民族だからで、月が満ちることは豊作を意味するのです。なので、八月ばかりでなく、いろいろな月の十五夜は、お月見以外にも様々な行事が行われたのです。

 最近、お月見の時にお供えするお団子やお菓子がお店で売られるようになり、その包装紙の月に白ウサギが描かれるようになりましたが、あれは変ですね。月の模様にちなんでよくいわれるウサギは黒ウサギですよね。だから白ウサギがいると思って月面を探しても、さっぱり判りません。 

 デザイナーさんは月を見たことがないのでしょうか? もっとも、西洋人のように黒い模様を魔女の横顔に見るよりは、まだほのぼのしますが、それにしてももう少し実物を見てデザインしていただるとよかったと思います。

 ところでお供え団子の数はいくつでしょう? 十五夜だから十五個でも良いですが、日本の古式では、その年の満月の回数という取り決めもあります。その線で行くなら、今年は十二個で、来年は十三個です。お公家さんの家系ではそれが今でも守られているそうです。でもお三方に乗せるとき、十五個の方が並べやすくて都合は良いようです。伝統の習慣はいつまでも守り続けたいですね。

※9月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。