集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第186夜「季節はかわる」(2015年1月16日号)



 来週中半には大寒を迎え、いよいよ冬の寒さも本番になりますね。宵空にはオリオン座やおおいぬ座などの冬の星座が、華々しく競い合っています。これからの一週間は、蚊に悩まされることがほとんど無い、と言っても、あのシベリアにだって蚊が棲息しているそうですから油断大敵ですが、寒ささえ気をつければ、我が世の春ですね。

 晴れていれば、一時間ごとぐらいに外に出て、スターウォッチングを楽しんでみませんか。暗闇に目を慣らすために10分間ほど街灯を見ずに、瞳を開くことに専念すれば、あとは都会の空でも驚くほど満点の空(これを普通は満天の星空と言う)を楽しめます。とくに透明度バツグンの晴天に恵まれる太平洋岸では、星々の輝きが違うことでしょう。

 さて、時間の流れと共に、満点の空も姿を変えます。夜中には北斗七星など春の星座が、明け方には、こと座やはくちょう座、そしてさそり座などの夏の星座まで顔を出してきます。

 真冬なのに、真夏の星座が見られます。私は、噂のベテルギウスの超新星爆発(第36夜参照)を誰よりも先に見たいが為に、毎年8月中半から翌年4月末まで、その明るさを観測しています。一昨年~昨年は暗い0.8等で始まり、昨年2月中半は0.3等で極大となりましたが、2月下旬一気に0.6等まで暗くなりました。残念ながら超新星爆発はしませんでしたが、昨年は8月15日朝に0.7等と、いつもの黄赤色で再スタートしました。爆発していたら、再スタートはありませんね。

 季節によって見える星座が異なるのは、もちろん地球が太陽の周りを一年かけて公転しているからです。でも、この変化を楽しむことが出来るのは、わずか120回ほどしかありません。だって、誰でも最長120歳くらいしか、生きることは出来ないのですから。

 そこで、1万年後の星空を想像すると、夏の大三角は1月の今頃宵空に見え、秋の星座が夜中過ぎに見え、明け方にオリオン座が南の地平線スレスレに見えることになります。織り姫星は一晩中見ることができますよ。地球の歳差が原因ですが、不思議ですね。

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。