集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第184夜「明けましておめでとうございます」(2015年1月2日号)



 明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。でも、何故おめでたいのでしょう?今日は昨日の翌日だけではないでしょうか。一年の最初がおめでたいなら、一年の最後の大晦日はめでたくないのでしょうか。

 まったく正月草々ヘリクツをこねて申し訳ありません。旧暦の時代なら、正月はおめでたかったのです。春が来るからです。立春正月と言って、現代の暦の立春(だいたい2月4日頃)が、気温が年間最低になり、これ以上気温は下がらず、徐々に温かくなりますよという時期でした。だから年賀状に賀春・迎春と書くのです。

 ところが、明治6年1月1日から諸外国の暦と合わせるために新暦となり、正月一日はこれからまだ寒くなることになってしまったのです。まったくおめでたくない話なのです。
一つだけおめでたい話を申し上げましょう。正月三が日は、日本では年間で一番夜空が暗い日です。理由は簡単!多くの人が仕事を休み、光害が減っているからです。

 こういうときに、星空愛好者は夜空ではなく星空を楽しみましょう。ただし、あいにくなことに1月5日が満月ですから、月明かりが邪魔をしてくれますね。来年(2016年)に期待しましょう。2日が下弦ですから。

 ところで、初夢をご覧になりましたか?昔は大晦日の夜→一日の朝に見る夢がそれでしたが、大晦日(つまり除夜)は寝なくなったため、一日→二日に変わったそうです。習俗というのも、人間の都合によってずいぶん変えられるものなのですね。

 去年の私の初夢は、ベテルギウスが超新星爆発をしたという、飛んでもないものでしたが、それは全くの夢となってしまいました。2月中半まで徐々に明るく(0.4等)なっていたのですが、それを過ぎると急降下、5月の初めには0.6等まで暗くなりました。世紀のどころではない、人類史上初めての現象を見損なって、良かったのでしょうか?

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。