集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第201夜「八十八夜と端午の節句」(2015年5月1日号)



 本日からいよいよ太陽暦の5月で、2日の夜が八十八夜、4日の満月を挟んで5日の昼間は端午の節句です。
そんな今年の今日この頃、明るい月にも負けずに、宵の西空低くやや北側に「宵の明星」金星が、西空中天高くに「夜中の(と言っても今は夜中過ぎに沈んでしまいますが)明星」木星が、堂々と輝いています。

 みなさんが望遠鏡をお持ちでしたら、木星も金星も是非一度やや高倍率でご覧ください。木星は4個のガリレオ衛星の並びが毎晩面白いように変化しますし、金星はだいぶ欠けている様子が眺められます。

 来月半ばには、金星が更に欠けて半月状になり、再来月7月半ばには、遂に三日月状にまでなります。四百年以上前にガリレオが満ち欠けする金星の変化を見て、金星が太陽の周りを公転し満ち欠けし、木星の周りを衛星が公転するのだから、地球が太陽の周りを公転しているのは何らおかしくないと確信したことを、みなさんも、また確信いただけるはずです。そして、望遠鏡を持っていて良かったな! と心から思っていただけるはずです。

 みなさんの100年前頃のご先祖は、望遠鏡を所有してはいなかったでしょうから、そう確信することは出来ませんでした。だから、天文学と言えばせいぜい占星術か暦程度でした。それで、西日本では八十八夜の別れ霜といって、それを過ぎると霜害の心配が無くなるとか、船乗りにとって海路が穏やかになるとか有り難られたりしました。

 一方、昔の暦(太陰太陽暦)の端午は、端が初めの意味で月初めの午の日のこと。午は五に通じるので、推古天皇の時代から五月の節句が端午の節句にされ、三月三日の雛祭りに対して、男児の祭とされたそうです。

 当時の端午は、現行暦の夏至近くに当たるため、その日(今年なら6月20日)に入る菖蒲湯は、当時の冬至の柚子湯と対をなすものでした。現行暦での5月5日では、菖蒲湯入浴の訳が分からなくなってしまいました。

※5月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。