集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第202夜「太陽の兄弟星」(2015年5月8日号)



 宵の西北西の空に、宵の明星金星が輝いています。宵の明星と言っても、それが地平線下に沈むのは、今なら22時を過ぎてからなので、夜更けの明星と言っても良さそうですが、実は木星に夜中の明星という良い名前があるので、やはり宵の明星と言っておきましょう。ただし、今は木星も夜中過ぎに沈んでしまいます。この時期は、宵の西空で宵の明星と夜中の明星がせめぎ合っているわけです。

 ちなみに、それらは今、互いに夜ごと接近しつつあり、6月30日と7月1日には、ひとまとまりになってしまうほど近づきます。チョー大接近になりますよ。お楽しみに! ただし、日本列島の多くの地域では、梅雨空がうらめしいことになるかも・・・。

 ・・・で、金星も木星も、太陽系が誕生した頃地球と共にほぼ同時に誕生したので、地球の兄弟星ですが、太陽にも兄弟星がいるはずだって言うことは、みなさんご存じでしたか。

 第200夜で球状星団メシエ13をご紹介しましたが、その奇妙なボール形を、ぜひネットなどで写真を探してご覧ください。もちろん本当は望遠鏡でご覧いただくのが一番ですが・・・。

 星団と言えば、冬の夜空で見ることができるおうし座のプレアデス星団、というより枕草子でもうたわれた散開星団すばるが有名ですが、球状星団は100億歳以上の年寄り星が100万個もギュッと詰まったものに対して、散開星団は高々数百万歳の赤ちゃんみたいな星たちが、数百個のバラバラッと散らばったもので、一体何故こんなに違うのかと、見れば見るほど不可思議千万です。

 でも、これまでは球状星団と散開星団が全く別種の星の集団だと思われていましたが、近年両方の集団の特徴を兼ね備えた星団が発見され始め、しかもそれらが、今では珍しくなくなった銀河と銀河の衝突によって誕生するらしいことも判ってきました。

 多数の宇宙探査機で近い将来、今は遠くに離れている太陽の兄弟星が見つかることが期待されています。なにしろ誕生時は10光年の中に3500個ほども密集していたそうですから…。

※5月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。