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あつぼし見上げて夜話

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第215夜「今夏のペルセウス座流星群」(2015年8月7日号)



 今年3月、NHKテレビのニュースで、仙台市天文台製作の番組の話が放映されました。その中で、あの日の夜中、晴天と停電と、さらに月も夜半前に沈み、奇跡的な夜空が見えたということが伝えられました。そして、この季節、例年は余り顕著な流星群が無い中で、多数のおそらく散在流星が飛んだという目撃談がありました。

 ところで、今月13日未明から明け方には、例年かなりの流れ星を飛ばす、有名なペルセウス座ガンマ流星群が見えるでしょう。と言うより、見えます。なぜなら翌日14日に新月になるからです。つまり、月明かりがほとんど無いという好条件です。

 一応午前3時半前に、月が東北東から上ってくるのですが、極めて細い月で、上ってきた直後には薄明が始まり、月が見えたとしても薄明ですぐにかき消えされてしまうでしょう。暗い流星も、薄明光に紛れ、午前4時過ぎには観測終了です。

 ですが、早めに観測準備する方なら12日23時頃から始めるので、5時間もの観測は大変ですから、午前4時にお仕舞いで結構です。多分、日本でのピークは午前2時前後でしょうが、こればかりは実際に観測してみないと決定できません。おそらく1時間当たり数十は出現しますが、これも観測で決めねばなりません。たくさん飛ぶと良いですね。

 ペルセウス群は、比較的暗い流れ星が多い流星群と言われていますが、割合に速く流れるものも多いのです。スコットランドやアイルランドの主にカトリック教会で聖人として崇められ、10日が殉教の祝日になっているセント・ローレンスの涙と言う名前が有名ですが、もちろん科学的には涙ではなく、スウィフト・タットルと呼ばれる彗星がばらまいた塵です。

 同彗星は1862年に一部が崩壊し、1972年8月にそのかけらが地球とすれ違い、米国上空で飛行機と遭遇したことがあります。幸い、当たりませんでした。次回回帰は2126年で、地球と衝突するという可能性もあります。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。