第222夜「27日はお月見しましょう」(2015年9月25日号)
最近月をご覧になったことありますか?いやぁ、あんまりとか、この前見たのはいつだったかなとおっしゃる方が多いのではないでしょうか。
月が良く見える晩は、星が良く見えないと嘆く私、だから観測はお休みとはいきませんが・・・、あるいは月を見ると怪しい人間と見られがちな欧米に長い間赴任していたので、とおっしゃる方もおられるかも。ともかくそれは別として、日本には昔からお月見という習慣がありますから、今月27日の満月をお楽しみになりませんか。
今年の中秋の名月の月は、本当の満月半日前で、本当にまん丸になる太陽から180度離れた、すなわち太陽から真反対となる日本時間28日午前11時5分に、皆既月食が起こるのですが、この時間では月が全く地平線下で、それを日本で見ることはできません。北南米と大西洋を挟むアフリカ西部で見ることができます。そこに行って曇って見えないと、その後しばらく、世界的に見ることができず、次回は17年8月8日、日本や中国、インドなどアジア大陸で見える部分月食になります。皆既月食に至っては18年1月31日まで待ちましょう。日本やオーストラリア、ハワイなどで見えます。
でも、今年の中秋の名月は近年よく言われるスーパームーン。ウサギさんが良く見えるはずです。ですが最近、月に見られるウサギさんを白ウサギと思っておられる方が多いそうです。全くの誤りで、白ウサギをいくら探しても見つけられません。野ウサギの夏型、つまり黒ウサギだからです。野ウサギの一部が冬型の白ウサギになるのは、まだ先です。
なぜかを考えると、これは里山から野ウサギがいなくなったからだそうです。故郷という歌の「兎追いし かの山」が少なくなったからでしょうね。
みなさん、月にぜひ黒ウサギを探し、地球で環境破壊が進んでいることに思いをはせてください。ぜひお願いします。
※9月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。
プロフィール:金井三男(かないみつお)さん
もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。
「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。