集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第23夜「7日未明月が木星に接近」(2011年12月2日号)



 私が住む関東地方では、いよいよ空っ風が吹き始める季節になりました。今日は冷え込みましたね。みなさんお住まいの地域ではいかがですか。でもこんな時こそ、風で汚い空気が吹き飛ばされて、星空がいつもよりずっと綺麗に見えますから、少しでも余裕が生じたときに見上げてみてください。きっと気持ちが改まるはずです。そして、体はポォっと温まるかも知れません。

 21時頃になっても北西の空には、地平線近くにまだ牽牛・織女の夏の星が見えています。この2つの星と、もうひとつの1等星デネブでかたちづくられる夏の大三角も見えていますが、東の空にはオリオン座やふたご座など冬の星座たちも上ってきました。夏と冬の星座が同居状態になって、なかなか楽しい星空です。

 当然天頂近くには、W字型のカシオペヤ座やおうし座のV字型の頭(ヒアデス星団)、そして秋の大四辺形をつくるペガスス座やアンドロメダ座ががんばっています。そういえば、最後の2つの星座で「旗星(はたぼし)」という見方もあります。その星の並びを追ってみたり、旗竿の北側にボォっと見えるアンドロメダ大銀河を見つけるのも楽しいですよ。

 そんな夜空で、寒さに耐えながら6日の夜は翌未明まで夜更かしをしましょう。木星と月の接近が楽しめるからです。6日21時に木星と月中心との間が5度29分、7日0時に5度7分、3時に4度43分となります。最接近は4時54分の4度36分ですが、月も木星もその時には沈んでいますし、食も起こりません。

 月が木星を隠す木星食は、もっと派手に見える金星食ほどではありませんが、でも目を見張るほどの天文現象になります。日本で夜に見える木星食は2050年までで、2037年12月24日20時20分、2041年4月16日19時24分、同年5月13日22時57分ですから、この40年間で、たった3回しか起こりません。ぜひみなさん、がんばって長生きしましょうね。

※12月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。