集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第236夜「オーロラ②」(2016年1月1日号)



 2016年を迎えました。今年もよろしくお願いします。初日の出はご覧になれそうでしょうか。

 さて、虹はみなさんご存じの通り、いつも太陽(や満月)とは反対側に生じます。太陽や月が光源となっているのですね。言ってみれば一種の幻です。だから、虹を追いかけたり、虹の橋をくぐったり、あるいは虹の橋を渡ろうとしても、それは無理な話です。ただし、幻だとは言っても手前に必ず水滴や水蒸気が必要ですが…。

 一方、オーロラは幻ではありません。だからちゃんとその厚さが500mだと測れます。しかもそれは太陽と地球磁場との相互作用で、発電しています。通常のオーロラでも、その出力発電量は100万メガワットにもなり、地球上の大型発電所のそれの1000倍にもなるそうです。時には1億メガワットにもなることがあるそうです(利用できたら原子力発電所はいりません)。それほどのオーロラが現れるのは、太陽でフレアという現象が起きた後で、そこから吹き出した太陽風が、地球付近を吹き抜ける際に起こるそうです。ダイナミックな話ですね。

 なぜオーロラが美しく輝くのでしょうか?磁石の地球が創る磁力線の一本一本が電線となって、その電線に沿って放電が発生するからだそうで、空間が描く芸術なんですね。

 ところで、今から40年以上前にパイオニア、ボイジャーという探査機が相次いで打ち上げられ、木星から海王星までの磁場を持つ大型惑星達を探査しましたが、その中でも注目されたのが、それぞれの惑星が見せてくれたオーロラの発見でした。木星はその大気主成分が水素なので、酸素や窒素を主成分とする地球のオーロラとは異なり、なんとピンク色でした。その上、オーロラが作るリングの直径が地球2個分もあるというトンデモないビッグなものでした。また天王星のそれは、赤道地域にありました。天王星の自転軸が横倒しになっているためでした。

 というわけで、実は地球のオーロラが当たり前と思っていてはいけないのです。しかも地球とは似た岩石質の水・金・火星には、オーロラがありません。宇宙はオモシロイですね!

※1月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。