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あつぼし見上げて夜話

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第47夜「金環日食」(2012年5月18日号)



 申し訳ありません。東北地方では5月21日朝の金環日食をご覧になることができません。深い部分日食で終了します。でも、南九州から四国・関西・中部・関東地方では金環日食をご覧いただけます。なにしろ、これほど日本の広範囲地域で見える金環日食は1080年以来だそうで、次は2312年だそうです。

 ただし、東京でも、ずっと南方の八丈島で金環日食が昭和33年に(食分0.96)、さらに南方の小笠原近海で皆既日食が昭和63年に見え、当時は大騒ぎになりました。

 食分というのは、月が太陽面をどれだけ隠すかを示す数値ですが、今回の金環日食では東京都中央区で最大0.97(午前7時34分38秒)になり、前回(八丈島)の0.96を若干上回ります。今回では、限界が0.95程度で、食分がそれ以下の場所ですと、金環食は見えず部分食になります。

 例えば、福島市では食最大が7時(以下省略します)39分0秒・食分0.93、仙台市40分16秒0.93、山形市39分51秒0.92、盛岡市40分13秒0.90、秋田市42分22秒0.89、青森市45分3秒0.88で、いずれも金環食になりません。新潟市や長野市、富山市、金沢市、福井市などでも残念無念! 一方水戸市では、36分28秒0.95、宇都宮市36分20秒0.95、前橋市35分21秒0.95、甲府市33分39秒0.96でいずれも金環日食を見ることができます。東京でも八丈島や小笠原では太陽が欠けますが、金環日食を見ることはできません。

 というわけで、今回の金環日食を見るには場所が限られます。2035年9月2日午前10時過ぎには、それぞれ前後各1分程度ずつですが、富山市10時4分、長野市6分、前橋市8分、宇都宮市9分、そして水戸市10時10分頃に素晴らしい皆既日食が見えるでしょう。みなさん、お楽しみに!

※5月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。