集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第59夜「ペルセウス座流星群と金星食を見よう」(2012年8月10日号)



 月遅れのお盆がやってきました。会社や工場にお勤めのみなさんも、いよいよこれからは夏休みの本番。故郷や山や海で、いろいろな風にお休みを取られることでしょう。

 お盆休みに入った12日は、夜半まで月明かりが無い暗い夜空を楽しむことができます。月が昇るのは夜半過ぎ。でもこの日の月の出はおもしろいですよ。まるでお供を連れた女王様のお出ましのようです。

 50分ほど先に登場するのは少し暗い、でも落ち着いた輝きの木星です。女王様に約1時間遅れての登場は、華々しい輝きの金星です。か細い月が何だかみすぼらしい感じです。ただ、おそらく月の光っていないはずの側がぼんやりと見えるかも? それは、かのダビンチが正しく説明したと云われる地球照(ちきゅうしょう)、すなわち地球が太陽光を反射して月を照らす光です。前日12日未明も観望チャンスです。

 さて、ペルセウス座流星群と言えば、毎年夏の夜空を飾る風物詩で、特に昨年は国際宇宙ステーションから、つまり宇宙空間からその姿が撮影されて話題になりました。今年は細い月なので、たいした邪魔にならず、多数の流れ星が未明の空に出現するのを、地上から楽しんで戴き、みなさんの心の癒しになればと願っています。

 14日未明の天文現象もみなさんをきっと癒すことでしょう。二日前には月のお供だった金星が今度は主役です。といっても、主役は脇役の月に隠されるのですが、月の光っている部分に隠され(2時45分頃)、月の光ってない側から出てくる(3時29分頃)姿を望遠鏡で眺めるのは、ほんとうにおもしろいです。私は同じ現象を1989年12月2日夕方に、多数の方々と共に、楽しみました。

 当日夕方には、白いスピカと赤い火星と茶色っぽい土星が、西空低く、下からこの順に並びます。低倍率の双眼鏡ならいっぺんに見ることができます。日ごとに火星が東に動いていく様子も、ぜひご覧下さい。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。